蛇の王(Basilisk):爬虫綱有鱗目トカゲ亜目
ヨーロッパに伝わる古い文献曰く「バスリスクをして、これを蛇(蜥蜴)の王とすべし。その姿は銀の王冠を戴き誇らしげに歩み、まさに王たる威厳に満ちている。恐るべき一睨みで如何なる生物をも即死に至らしめ、あまつさえ岩までをも破壊する。その息吹は猛毒であり藪や木々を枯らし、飲まれた水源は直ちに毒水と化し、毒ある唾液を飛ばし鳥すら落とす程である。この忌まわしき生物が通った後には、ただ不毛なる荒野が残るのみである・・・」
頭部に冠を思わせる3つの瘤を持ち8本の脚を有するとされる恐るべき爬虫類、竜同様中世ヨーロッパに於いて恐れられた怪物のバシリスク。
本個体はそのバシリスク、あるいはそのモデルとなったトカゲである。
脚こそ6本であるが、頭頂部には王冠を思わせる瘤状の突起を持ち、また脚部の形状から陸生のトカゲと判断出来る不気味な生物。
恐らくはアメリカ大陸に生息するドクトカゲ類以上の、それこそ人間を即死させるほどの毒牙を持っていたと考えられ、故、忌むべき生物とされていたと推測される。
この個体は6本脚であるが、果たしてそれが個体自体の先天的染色体異常(畸形)によるものなのか、種として定着したものであるのかは現段階では一切不明である。
本標本はイングランド南部にある修道院に古くから保管されていたものである。
採集年 2004年
サイズ B3 (515×364mm)
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